「うちの子、バスケットボールを始めたけれど全然上達しないんです…」
「なかなか試合にも出してもらえなくて、正直不安です」
ミニバスの指導をしていると親御さんからこうした声をよく耳にします。お子さんが頑張っているからこそ、成果が見えないと焦る気持ちは私にも痛いほどわかります。
私はかつて日本代表としてプレーし、世界の強豪と戦いました。でも、最初から上手だったわけではありません。何度も失敗し、落ち込み、努力を積み重ねて今があります。そんな経験があるからこそ、今は指導者としてバスケを始めたばかりの子どもたちと彼らを見守る親御さんの気持ちが本当に理解できるのです。
今日は「子どもがなかなか上達しないとき、親としてどんな心構えでどんな声かけをすればいいのか？」について、丁寧にお伝えしたいと思います。
子どもの成長は目に見えないものから始まる
「今、上手くできていない」からといって「この先もダメだ」とは限りません。むしろ、初心者の時期にはたくさん失敗するのが普通。ドリブルが転がってしまう、パスが通らない、シュートが入らない。それが“当たり前のスタートライン”なのです。
私もミニバスを始めた当初、ドリブルはすぐ相手に取られ試合で使い物にならない選手でした。親は心配していたようですが、当時のコーチが「失敗した分だけ上手くなる」と言ってくれたおかげで、私は前向きに練習に取り組めました。
成長は見えないところから始まります。焦らずに、子どもが踏み出す一歩一歩を応援してあげてください。
ミスを責めず、「問いかける」言葉を
お子さんがミスをしたとき、つい「なんでできないの？」と言ってしまいそうになりますよね。でも、その一言が子どもの心を閉ざしてしまうこともあります。
私は小学生のAくん（当時4年生）を指導していたときのことをよく思い出します。彼は試合でボールを見すぎて相手に取られてしまい、自信をなくしていました。そこで私は「どこが難しかった？」と聞いてみました。すると彼は、「相手を見ずに突っ込んでしまった」と気づき、その後の練習で「周りを見る」意識が格段に上がりました。
子どもが自分で気づき、考え、改善できるようにするには、親からの問いかけがとても重要なのです。
自主性を育てる魔法のひと言
「練習しなさい！」よりも、「今日は練習どうする？」という質問の方が、子どもにとってはずっとやる気を引き出してくれます。
私は実業団でプレーしていたとき、自主練に身が入らない日もありました。でも、親から「今日はボールに触った？」と聞かれるだけで、「あ、そうだ、やらなきゃな」と思い出し、自分で行動に移せるようになったんです。
強制ではなく、“気づき”を促す声かけ。それが子どもの自立心とやる気を育てるカギになります。
良い指導者との出会いがカギになる
バスケが上達するかどうかは、子どもと指導者の相性にも大きく左右されます。特に大切なのは、次のような特徴を持つ指導者です。
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ミスを叱らず、原因を一緒に考えてくれる
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子どもの成長段階に応じた指導をしてくれる
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子ども自身が「楽しい！」と感じられる練習をしてくれる
私が日本代表でプレーしていたとき、技術以上に「教え方の違い」が選手の伸びしろに影響を与えていると感じました。指導者選びは親御さんができる最も大きなサポートの一つです。
子どもを伸ばす、親御さんの3つの行動
ここで、親として今すぐできる3つの行動をまとめてみます。
今ではなく「未来」を見据えて見守る
たとえ今ミスが多くても、成功の芽はちゃんと育っています。今すぐ結果を求めすぎず、「続ける力」「試行錯誤する力」に目を向けましょう。
努力・姿勢・チャレンジを認める声かけを
「ナイスシュート！」だけでなく、「最後まであきらめなかったね」「工夫していたね」と声をかけてあげましょう。プロの選手でも結果が出ない日があるのです。行動や姿勢を認めることが、自信につながります。
“問いかけ”で自主性を育てる
「今日の練習、どうだった？」
「どこが難しかった？」
「次はどんな風にやってみたい？」
こんな問いかけが子どもの考える力を引き出し、自分から動く力を育ててくれます。
最後に：子どもの未来は、親の信じる力で広がる
バスケットボールは単なるスポーツではありません。
努力すること、失敗してもあきらめないこと、人と協力すること――そのすべてが、子どもを人として大きく育ててくれます。
親として今できる最高のサポートは、「信じること」。
焦らず、見守り、寄り添い、そして子どもと一緒に喜びを感じられるような毎日を積み重ねていきましょう。
「あなたなら、きっとできる」
その一言が、お子さんの未来を切り拓く力になるはずです。
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